ノースポーツ、ノーライフ?
ここまでお読みになった方の中には、スポーツとは無縁の立場からメンタルトレーニングそのものに興味を持った方もいらっしゃることでしょう。
メンタルトレーニングの良いところは、スポーツ選手のみならず普通の社会人にも応用が利くことです。ものすごく大雑把に言ってしまえば、今までのメンタルトレーニングで学んだことをスポーツから実生活に読み替えるだけでトレーニングができてしまいます。
例えばプラス思考について考えてみましょう。これはスポーツ選手のみならず、常にストレスにさらされ、顧客の要望に応え続ける社会人とっても重要なスキルです。社会の中にはスポーツ以上に「自分ではどうにもならない原因」で失敗することがありますし、その責任を自分がかぶらなくてはならないことも多々あります。
でも、そんな時にきちんと原因を分析して、自分がどうにかできたはずのことだけを反省し、そうでないものについてはきちんと除外しながら「次はもっとうまくやれる」と自分を鼓舞します。そのような思考が自然と出来るようになれば、もらったようなものです。このストレス社会においてすばらしい立ち回りができるようになるでしょう。
反面、スポーツ選手よりも不利な条件はたくさんあります。一番大きなものはチームメートやよき理解者の欠落です。
探せばいるかもしれませんが、この社会をよりよく生きるためのメンタルトレーニングを個人に課しているようなメンタルトレーナーは、ほとんどいません。仮にパートナーを見つけたとしても、それは恋人であったり、パワーランチなどの機会で知り合った意識の高い友人だったりします。そういったところで理解者をつかまえて協力できるような体制を整えなければ、試合前のサイキングアップのようにお互いを高める機会には恵まれません。

時間がないのも社会人の弱みです。プロのスポーツ選手であればスポーツをやるのに十分な時間を割くために環境を整えるでしょうが、普通の社会人には生活があります。仕事中は仕事のことを考えなければなりませんし、家に帰れば家事をしなければなりません。実のところ、メンタルトレーニングについて考える暇はあまりないのです。
ですから、通勤中の電車の中やちょっとした休憩時間、食事の時間、入浴前後、寝る前などに短時間で集中して意識的に行う必要があります。社会人のメンタルトレーニングで必要なのはそういった隙間時間の活用法であると言っていいでしょう。
Lesson7ではそのようなちょっとした活用法を紹介していきます。社会人、学生の方々は、Lesson5までの内容きちんと読み込んだ上で、Lesson7へ移りましょう。