Lesson5-4 心理スキルの活用

心理スキルで心を制御する

イメージコントロールには様々な心理スキルを活用することができます。このLessonでは、重要なスキルを紹介します。

自律訓練法

イメージの力を増強したり、身体のコントロール精度を高めていくための練習法として、自律訓練法というものがあります。

これはもともとリラクセーション法の一つであり、1932年にドイツの精神医学者が始めた医学的根拠のある由緒あるトレーニングです。心療内科などでは実際に治療に用いられることがあります。

やり方自体は様々ですが、どれも難しくはありません。まずは一般的に有名な、第二公式で扱われる内容を実践してみましょう。

手の上に温かいものを置いてみたと想像してみて下さい。そうして、次第に手が熱を帯び始める様子を想像します。そこで、間隔を置いて十回ほど「体が温かくなっている」と、事実と異なることをつぶやいてみましょう。

最初は何も感じないかもしれませんが、この方法を重ねるうちに次第に温度を感じるようになっていきます。私たちが自分の体温を意識するのはせいぜい風邪を引いたときくらいですが、この訓練を続けると、自分の体の温度が意識できるようになります。

このようにしてイメージの力と自分の体のコントロールの精度を高めていきます。ただしこれには注意点があって、後述の消去動作を必ず行いましょう。

メディテーション

瞑想と呼ばれるものです。ヨガなどの東洋思想やブディズムから、その宗教的な要素はおくとして、精神集中の方法を学ぶとしたら、このメディテーションになるでしょうか。

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メディテーションやる際には、落ち着いた時間を選ぶことが大事です。就寝前後、入浴後など、リラックスしているときに行うと大変効果的です。部屋の中にアロマの香りを炊くのも、メディテーションの効果を高めるのに貢献してくれます。

やり方は大変複雑ですが、他の練習と同じように簡単なところから始めてみましょう。まずは、穏やかな笑み(アルカイックスマイル)を浮かべたまま三分間目を閉じてみるのに挑戦しましょう。その間も心はなるべく空っぽにします。

これができるようになれば次のステップに進みます。メディテーションにおいて集中力を高めるのに必要なのは、自分の精神をつけるための呼吸法です。かつてLesson2で学んだ呼吸法を思い出し、瞑想に取り組みながら実践してみましょう。

消去動作

これは自律訓練法の一環として行うものですか、他の心理スキルの活用の際にも有効なので、独立して紹介します。

自律訓練法自体はとても有効なテクニックですが、それ自体は自己催眠の方法論を用いています。入眠する場合を除き、自律訓練法を用いた後、催眠状態になっている意識を覚ますために必要な手順があります。それが消去動作と呼ばれるものです。

これもやり方自体は複雑ではありません。心理スキルを活用したあとに体を起こして座り込み、大きく伸びをして深呼吸を行います。それから肩や首をゆっくり回し全身をほぐしましょう。

そうやって体を動かすことで催眠から覚め、元の状態に戻ります。自律訓練法のような自己催眠には、そのものに強い効果があるからこそ、あくまでもイメージトレーニングや想像力の強化程度に留めておく必要があるのです。

ここで紹介したような心理スキルを用いることで、メンタルトレーニングにおけるイメージトレーニングの効果はより強力なものになっていきます。本番で力を発揮するためにも、日々のイメージトレーニングを欠かさないようにしましょう。