Lesson2-4 ワークシートを用いた簡易メンタルチェック

ワークシートを用いる方法

心理検査を用いるメンタルチェックとは対照的に、応答式のワークシートを用いることで受講者(選手)の心理状況を把握する試みもあります。

たとえるならばカウンセリングでしょうか。ちょっと想像してみてください。最近では学校にもカウンセラーが置かれるようになりましたよね。生徒が心理的な問題を抱えていたとしても、カウンセラーと週に何度か相談することで自分の置かれた状況を見つめ直し、徐々に回復へ向かっていきます。それと同じことなんです。

生徒をスポーツ選手に、カウンセラーをメンタルトレーナーに置き換えてみましょう。あなたは生徒(スポーツ選手)に対して質問をします。ただし、「教室の中で起きたことを話してください」という風に尋ねたりはしません。自己分析用のワークシートを用いて「その日の練習で起きたこと」「自分の目標を達成するためには何をすればいいか」「一年後の自分の姿を想像して描写する」といったいくつかの項目を埋めてもらいます。そうすることでスポーツ選手に自分の心理状態を正しく把握してもらうのです。

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これは余談ですが、何かを「書く」という行為は心を清めるのに向いています。人間は悩ましいことや辛いことを人に話したり吐き出したりすると気持ちがすっきりしてストレスが解消されるようになっているので、定期的に問題点を書き出すという習慣をつければそれだけでメンタルの強さを維持できてしまうこともあります。

また、書道のように「書く」ことに集中し没頭すると、そちらに気持ちが向かうため、一時的にストレスを忘れて心の傷を浅くすることができます。それだけでなく、問題点を書き出すことで頭の中で考えているときには浮かばなかった対策が思い浮かんだりすることもあり、「記録を付ける」という行為はスポーツの世界のみならず、ストレスを軽減する必要のある環境ではとても良い習慣と言えるでしょう。

自己分析に適したワークシートの入手法

さて、肝心のワークシートを用意する方法ですが、これにはいくつかの手段があります。

1.市販のメンタルトレーニング教本について来るワークシートを利用する

メンタルトレーニングの教本には、大抵数ページ分のワークシートが付いてきます。これらの教本は当然ながらメンタルトレーニングの方法論を詳しく学んだ方々が執筆しているので、付録としてついてくるワークシートも実用に耐え得る出来のものが多いのです。

自分で一から作るのが大変な場合、また、まずはプロの作った見本を元に研究してみたいという方は、市販の教本から「メンタルトレーニング用のワークシート」がついているものを選んで購入するのが良いでしょう。もちろんそれをそのまま流用してしまっても構いませんし、プロ向けの質問事項を中高生向けに、といった形で手を加えて使っても構いません。

自己分析のためのワークシート自体は、練習後に記述する想定で作られているためか、ほんの数ページ程度のものです。書き込むのに時間がかかるようでしたら簡素化してしまっても構いませんし、逆に週に一度ほどのペースでミーティングをやりながらがっつり埋めてしまいたいという場合は、もっと項目を増やして議論しながら記述していくのもよいでしょう。

いずれにせよ、繰り返し使うことでメンタルの成長を確認できるように作られていますので、原本に直接書き込むのではなく、コピーを取っていつでも閲覧できるようファイリングしておくことをオススメします。

2.自分で作る

自分でメンタルチェック用のワークシートを作ることも視野に入れましょう。そもそも自分で作れないようでは、巷に溢れるワークシートの良し悪しも評価できません。

ワークシートに盛り込むべき項目については次のLessonで説明しますが、まずは、

  • Yes/Noの二択で答えやすい質問項目をつくる。
  • 失敗/成功いずれの場合でもきちんと原因を把握できるような質問項目をつくる。
  • スポーツに対する意識と実情の差が分かるようにする。

といった項目を盛り込むことを意識しましょう。

自己分析はまず何よりも「己を正確に把握する」ためのものであり、目標(=あるべき姿)との差を浮き彫りにすれば外堀を埋める方法も考えやすくなります。そのことをきちんと理解しておけば、まず外すようなものにはならないでしょう。

ワークシートのサンプル

サンプルはこちら

ワークシートは、このような簡単な質問が並んだ形式です。

ワークシートは自分と向きあうためのツールですので、細かな形式よりもその質問の意味や意図・効果をイメージしながら以降のレッスンを学んでいってください。

 

次回のLessonでは、自己分析に盛り込むべき具体的な項目についてお話します。