自己分析の方法には大きく分けて「心理検査を使用する」「質問回答形式の自己分析を用いる」の2つの方法があります。このLessonでは心理検査を使用する方法について解説します。
スポーツ選手向けの心理検査
就職や運転免許取得のための勉強をしていた方であれば、自己分析のための心理検査と聞いて「心理テストのようなものだろうか」と思い至るかもしれませんね。おおむね正解です。心理テストは心理検査をより通俗的にしたものであり、正確さや学術的な信頼性を求める場合は心理テストではなく心理検査を用いる、という違いがありますが、表面的にはよく似ています。
メンタルトレーニングにおいても自己分析は重要ですので、学術的な調査に基づく心理検査を用いた分析の手法が研究されてきました。日本では主にDIPCA.3という心理検査が用いられます。これは”Diagnostic Inventory Psychological-Competitive Ability for Athletes“の略で、DIPCA、DIPCA.2という過去の心理検査の発展改良版、科学的な根拠のある診断検査として知られています。
診断検査を発行しているSACCESS BELLによれば、その特徴は以下の4点です。
スポーツ選手の一般的な心理傾向としての心理的競技能力(通称、精神力)を12の内容(忍耐力、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲、リラックス能力、集中力、自己コントロール能力、自信、決断力、予想力、判断力、協調性)に分けて診断する。
スポーツ選手としての心理面の長所・短所を診断できる。
メンタル強化の第一歩となる。
男女別にプロフィールが描けます。
(出典:http://www.saccess55.co.jp/kobetu/detail/dipca.html)
この解答用紙を埋めることでレーダーチャートを作成し、受講者の心の状態を把握します。理想はこの心理検査で「大きな円を描くような」綺麗なレーダーチャートを作ること。つまりチェックすべきすべての項目で満遍なく高い得点を得ることが重要というわけですね。

また、DIPCA.3は総合得点も計算できる仕組みになっており、一流のプレイヤーとなるためにはここで高得点を叩き出すことを第一目標とします。一般にはプロのスポーツ選手なら200点を超えるべきとされていますが、点数はあくまでも目安であることに注意してください。大切なのは自分の心の弱点を把握し、心のどんな部分を見直す必要があるのかチェックすることです。
この心理検査は非常に分かりやすく、またスポーツ選手向けのトレーニングの前提として実施することを目的に作られています。したがって、メンタルトレーニングの講習会などに行くと、受講者に対する足掛かりとして、「まずはこの心理検査をやってみましょう」という形で実施される機会も多いようです。
そういった講習会などに参加して受けてみてもよし、自分の心の傾向を把握するためにまずは自分で購入して試してみるも良し、です。サンプルセットはテストを制作しているSACCESS BELLの公式サイトから3000円台で買えるので、懐に余裕があれば研究してみるのをお勧めします。
メンタルトレーニングをやる前と、継続的に実施してみた後で、総合得点がどのように変化するか。その上達ぶりを確認してみるのもなかなか楽しいものですよ。